古雜メモ

古雜文庫のメモランダム

宮嶋麗子——迷える資夫の妻

宮嶋麗子は、麗子と書いて「うらこ」と読む。本名はうら。初期のプロレタリア作家で「坑夫」を書いたアナーキスト宮嶋資夫の妻である。この人、婦人記者のはしりの一人であり、婦人解放の評論を書いているのだが、もう今では無名に近い。派手なところのない…

マヴォイスト矢橋公麿は矢橋丈吉だった

『文藝市場』の大正15年4月号に、「硫酸と毒蜘蛛」という何やら変わった戯曲が掲載されていた。作者の名は矢橋公麿。この人、翌月の『文藝市場』5月号に岡田龍夫と連名で「マヴォ大聯盟の再建に就て」というアピールを出している(これは『文藝市場』だけな…

大正八年浅草観音劇場の出し物

雜誌『改造』1930年9月号に高田保「浅草『歌劇』華かなりし頃」という隨筆が掲載されている。高田が大学卒業後、所謂ペラゴロとなって浅草公園の興行街で漂泊生活を送った挙げ句に浅草オペラの代表的劇場であった金龍館の文芸部にいた時代の回顧的なエッセー…

檜六郎って誰なのさ

これは2017年のことなのでちょっと古い話である。 昭和初期の『改造』や『文戰』に檜六郎って人が社会時評的な記事を書いているのに遭遇した。ネットで検索をかけてみても、この檜六郎さん、どいう人なのかさっぱりわからなかった。そのとき、ふっと思いつい…

はじめに

ぼくは古雜文庫という古い雑誌や古本のパブリック・ドメインになったテキスト作品をEpub形式で公開するサイトをやっている。古雜の雜は雜誌の雜でもあるが、雜駁の雜でもあって、まだ200件程度の小さいサイトであるが特に決まったテーマがあるではなく、実に…